「ターンキーとコンサインメント、どちらを選ぶべきですか?」 ——これは、新しいお客様から必ず受ける質問です。 答えは「ケースバイケース」なのですが、それでは参考になりませんよね。
この記事では、ターンキー、コンサインメント、そしてその中間である部分ターンキーの3つの製造モデルを徹底比較。 それぞれのメリット・デメリット、コスト構造、そしてあなたの状況に最適なモデルの選び方を解説します。

"製造モデルの選択は、単なるコスト比較ではありません。御社のリソース、リスク許容度、製品特性を総合的に考慮する必要があります。この選択を誤ると、後々大きな問題になることも。"
500社以上との取引経験から
— Hommer Zhao
創業者・技術専門家3つの製造委託モデル

3つの製造委託モデルの概念図
PCB実装を外部委託する際、 大きく3つのモデルがあります。簡単に言えば、「誰が部品を調達するか」の違いです。
| モデル | 部品調達 | 責任所在 | 一言で言うと |
|---|---|---|---|
| ターンキー | EMS会社 | EMS会社 | 全部お任せ |
| コンサインメント | 発注者 | 発注者 | 部品は自分で用意 |
| 部分ターンキー | 両者で分担 | 分担 | いいとこ取り |
ターンキー製造とは

ターンキー製造:BOMから完成品まで一貫対応
ターンキーの仕組み
「ターンキー(Turnkey)」とは、文字通り「鍵を回すだけ」で完成品が手に入るサービスです。 お客様がBOM(部品表)とガーバーデータを提供すれば、 EMS会社がすべての部品調達、PCB製造、実装、検査を一括で行います。
ターンキーのメリット
- 調達業務の削減:数百点の部品を自社で調達する手間が不要
- 在庫リスクの移転:余剰在庫はEMS会社が負担
- キャッシュフロー改善:完成品支払いのため先行投資が不要
- 責任の一元化:品質問題の窓口がEMS会社に一本化
- 専門知識の活用:部品代替提案、EOL対応をEMSに任せられる
ターンキーのデメリット
- コスト上乗せ:EMS会社の調達マージンが加算される
- コントロール低下:部品選定・サプライヤー選択の自由度が低い
- 透明性の課題:部品の実コストが見えにくい場合がある
ターンキーが向いているケース
調達部門のリソースが限られている企業、新製品立ち上げでスピードを優先したい場合、 または海外部品調達のノウハウがない場合に特に有効です。 スタートアップ企業の多くがターンキーを選択しています。
コンサインメント(支給品)製造
コンサインメントの仕組み
コンサインメント方式では、発注者(お客様)がすべての部品を自社で調達し、 EMS会社に支給します。EMS会社は純粋に「実装サービス」のみを提供します。
コンサインメントのメリット
- コスト透明性:部品コストを完全に把握・管理できる
- サプライヤー選択の自由:既存の調達ネットワークを活用
- 特殊部品への対応:入手困難な部品、独自仕様部品の調達
- ボリュームディスカウント:複数製品で部品を共通化し、まとめ買い可能
コンサインメントのデメリット
- 調達業務の負荷:すべての部品調達を自社で行う必要
- 在庫リスク:余剰在庫、EOL部品のリスクを自社が負担
- 部品欠品リスク:1点でも欠品すると生産が止まる
- 物流コスト:部品をEMS会社に送る物流費用と手間
- 品質責任の複雑化:支給品起因の不良は責任が曖昧になりがち

"コンサインメントで最も多いトラブルは「部品の欠品」です。100点の部品のうち99点が揃っても、1点足りなければ生産は止まります。この1点のために全体のスケジュールが狂うことが珍しくありません。"
— Hommer Zhao
創業者・技術専門家部分ターンキー(ハイブリッド)
部分ターンキーとは
部分ターンキー(Partial Turnkey)は、ターンキーとコンサインメントの中間モデルです。 一部の部品はEMS会社が調達し、特定の部品はお客様が支給します。 「いいとこ取り」ができる柔軟なモデルです。
よくある分担パターン
| 部品カテゴリ | EMS調達 | お客様支給 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 汎用受動部品 | ○ | 調達効率が良い | |
| 汎用IC | ○ | EMS在庫を活用 | |
| 特殊・カスタム部品 | ○ | 独自仕様、入手困難 | |
| キーコンポーネント | ○ | 価格交渉力、戦略部品 | |
| PCB基板 | ○ | 一貫製造のメリット |
部分ターンキーのメリット
- 柔軟性:製品や状況に応じて最適な分担を設計
- コスト最適化:調達力を活かせる部分は自社、それ以外はEMS
- リスク分散:調達リスクを両者で分担
部分ターンキーの注意点
分担の境界を明確にしておかないと、責任の所在が曖昧になるリスクがあります。 どの部品をどちらが調達するか、欠品時の責任はどうするか、 事前に書面で合意しておくことが重要です。
3モデル徹底比較
| 比較項目 | ターンキー | 部分ターンキー | コンサインメント |
|---|---|---|---|
| 調達業務負荷 | ◎ 低い | ○ 中程度 | × 高い |
| 部品コスト透明性 | △ 低い | ○ 中程度 | ◎ 高い |
| 在庫リスク | ◎ EMS負担 | ○ 分担 | × 発注者負担 |
| サプライヤー選択自由度 | △ 低い | ○ 中程度 | ◎ 高い |
| 品質責任 | ◎ 明確 | ○ やや複雑 | △ 複雑 |
| リードタイム | ○ 安定 | ○ 安定 | △ 欠品リスク |
| 総コスト | △ やや高い | ○ 中程度 | ○ 低〜中 |
| 管理の複雑さ | ◎ シンプル | ○ 中程度 | × 複雑 |
Box Buildへの拡張
ターンキーモデルを採用する場合、PCB実装だけでなく、Box Build(完成品組立)まで 拡張することで、さらなるメリットが得られます。
Box Buildで追加できる工程

"当社のお客様の約60%が、最初はPCB実装だけのご依頼から始まり、その後Box Buildまで拡張されています。サプライヤー管理の手間が減り、中間在庫も削減できるため、一度体験すると元に戻れないとおっしゃいます。"
— Hommer Zhao
創業者・技術専門家選定基準:どのモデルを選ぶべきか
ターンキーを選ぶべき場合
- 調達部門のリソースが限られている
- 新規製品でスピードを優先したい
- 海外調達のノウハウがない
- 在庫リスクを取りたくない
- スタートアップ・中小企業
コンサインメントを選ぶべき場合
- 調達部門が充実している
- 特殊な部品を多く使用する
- 既存サプライヤーとの関係を維持したい
- 大量生産で部品コストを最適化したい
- 部品コストの完全な透明性が必要
部分ターンキーを選ぶべき場合
- 一部に特殊・戦略部品がある
- 汎用部品は外部調達で効率化したい
- 段階的にターンキーに移行したい
- リスクを分散したい
コスト構造の違い
「ターンキーは高い」というイメージがありますが、隠れたコストを含めると 必ずしもそうとは言えません。総所有コスト(TCO)で比較することが重要です。
| コスト要素 | ターンキー | コンサインメント |
|---|---|---|
| 部品価格 | やや高い(マージン込み) | 直接コスト |
| 調達人件費 | なし | 自社負担 |
| 在庫保管費 | なし | 自社負担 |
| 余剰在庫リスク | なし | 自社負担 |
| 部品輸送費 | なし | 自社負担 |
| EOL対応費 | 含まれる | 自社負担 |
| 欠品による遅延 | リスク低 | リスク高 |
総所有コスト(TCO)の考え方
部品価格だけを見るとコンサインメントが安く見えますが、 調達担当者の人件費、在庫保管費、EOL対応費、欠品による機会損失などを含めると、 ターンキーの方が総コストで有利になるケースも多いです。 特に中小企業では、間接費の影響が大きくなります。
まとめ
3つの製造委託モデルについて解説してきました。最後にポイントを整理します:
- ターンキー:調達負荷を下げたい、リスクを移転したい場合
- コンサインメント:コスト透明性を重視、調達力がある場合
- 部分ターンキー:柔軟性を求める、段階的に移行したい場合
どのモデルが最適かは、御社の状況によって異なります。 当社では、お客様のニーズに応じて3つすべてのモデルに対応しています。 まずはお気軽にご相談ください。パートナー選定の詳細についてはPCB実装パートナー選定の10のチェックポイントもご確認ください。 ワイヤーハーネスの委託製造については業界別ワイヤーハーネスガイドが参考になります。

"最近は、ターンキーでスタートし、量産が安定したら部分ターンキーに移行するお客様が増えています。最初から完璧なモデルを選ぶ必要はありません。状況に応じて柔軟に調整していきましょう。"
— Hommer Zhao
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