PCB実装パートナーの選定は、製品の品質、コスト、市場投入時間に直接影響する重要な意思決定です。 しかし、「価格が安いから」「知り合いに紹介されたから」という理由だけで選んでしまい、 後から問題が発生するケースを数多く見てきました。
この記事では、20年以上の業界経験から導き出した「失敗しないための10のチェックポイント」をお伝えします。 このリストを使えば、御社に最適なパートナーを見極めることができるでしょう。

"EMS選びで最も重要なのは、『問題が起きた時にどう対応するか』です。見積りの安さや営業担当の感じの良さではなく、品質管理体制と問題解決能力を見極めてください。"
数十社のEMSと取引・競合してきた経験から
— Hommer Zhao
創業者・技術専門家1. 品質認証と規格対応

品質認証は信頼の基盤
確認すべき認証
| 認証 | 対象 | 必要度 |
|---|---|---|
| ISO 9001 | 全業界 | ◎ 必須 |
| IATF 16949 | 自動車 | ◎ 必須(車載向け) |
| ISO 13485 | 医療機器 | ◎ 必須(医療向け) |
| UL認証 | 安全規格 | ○ 推奨 |
| RoHS/REACH | 環境規制 | ◎ 必須 |
チェックポイント
- 認証証書の有効期限を確認(期限切れに注意)
- 認証範囲が依頼する製品・サービスをカバーしているか
- 第三者認証機関による監査を受けているか
認証の「なりすまし」に注意
残念ながら、認証を取得していないのに「取得予定」と偽ったり、 証書を偽造するケースも存在します。認証機関のウェブサイトで 登録状況を確認することをお勧めします。
2. 技術力と設備
確認すべき設備・能力
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| SMTライン | マウンターのメーカー・台数、対応部品サイズ(0201対応等) |
| リフロー | ゾーン数、窒素リフロー対応 |
| AOI/SPI | 自動光学検査、はんだ印刷検査の有無 |
| X線検査 | BGA、QFNの内部検査対応 |
| ICT/FCT | インサーキットテスト、ファンクションテスト対応 |
| リワーク | BGA/BGAリワーク設備の有無 |
実際に確認すること
3. 試作対応力
新製品開発では、試作の迅速さが市場投入時間を左右します。 量産だけでなく、試作フェーズでの対応力も重要なチェックポイントです。
確認すべきポイント
- 最短リードタイム:部品支給で何日で納品可能か
- 小ロット対応:1枚、5枚からでも対応可能か
- DFM/DFAレビュー:設計段階でのフィードバックがあるか
- 試作→量産の移行:スムーズに量産に移行できる体制か

"試作の対応を見れば、そのEMSの本質が分かります。小ロットだからといって雑な対応をするところは、量産でも問題を起こしがちです。"
— Hommer Zhao
創業者・技術専門家4. 品質管理体制
確認すべき品質管理項目
- 入荷検査:部品の受入検査基準と実施状況
- 工程内検査:AOI、SPI、X線検査の適用範囲
- 出荷検査:最終検査の基準と記録
- トレーサビリティ:部品ロット〜完成品の追跡システム
- 不良分析:不良発生時の原因分析プロセス
工場見学のすすめ
可能であれば、実際に工場を見学することをお勧めします。 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の状態、 作業者の態度、設備のメンテナンス状況など、 書類だけでは分からない情報が得られます。
5. コミュニケーション
技術力があっても、コミュニケーションが悪ければプロジェクトは失敗します。 特に海外EMSの場合、言語とタイムゾーンの壁があるため、慎重に確認が必要です。
確認すべきポイント
- 日本語対応:日本語でのコミュニケーションが可能か
- 応答時間:問い合わせへの返信は何時間以内か
- 担当者の固定:専任の担当者がつくか
- 技術サポート:技術的な質問に回答できる体制か
- 進捗報告:製造進捗のレポートがあるか
6. 価格と透明性
見積りで確認すべき点
- 明細の詳細度:部品代、実装代、検査代が分離されているか
- NRE費用:治具、プログラム開発などの初期費用
- ロット割引:数量による価格変動の透明性
- 追加費用:特殊工程、急ぎ対応の追加料金
安すぎる見積りに注意
競合より大幅に安い見積りには要注意です。 品質を犠牲にしている、後から追加費用を請求される、 納期が守られないなどの問題が隠れている可能性があります。
7. リードタイムと納期遵守
確認すべきポイント
- 標準リードタイム:通常の製造リードタイム
- 納期遵守率:過去の実績データがあれば確認
- 急ぎ対応:特急対応の可否と追加費用
- 遅延時の対応:遅延が発生した場合の連絡体制
8. スケーラビリティ
試作・少量生産だけでなく、将来の量産拡大に対応できるかも重要です。
確認すべきポイント
- 生産能力:月産どのくらいまで対応可能か
- 設備拡張性:需要増加時の増産対応
- 複数拠点:リスク分散のための複数工場の有無

"スタートアップのお客様で、製品がヒットして急に月産1万台の増産が必要になったケースがあります。パートナー選びの段階で量産拡大の可能性も考慮しておくことが大切です。"
— Hommer Zhao
創業者・技術専門家9. サプライチェーン管理
確認すべきポイント
- 部品調達ネットワーク:正規代理店からの調達体制
- EOL対応:部品廃番時の通知・代替提案
- 偽造部品対策:部品の真贋判定体制
- 在庫管理:VMI(ベンダー管理在庫)対応
10. アフターサポート
確認すべきポイント
- 保証範囲:製造不良の保証期間と範囲
- リワーク対応:不良品の修理・再作対応
- 不良解析:問題発生時の原因分析サービス
- 改善提案:VE(バリューエンジニアリング)提案
注意すべき危険信号
以下のサインが見られたら、そのEMSとの取引は慎重に検討してください:
- 見積り回答が遅い(1週間以上かかる)
- 質問への回答が曖昧
- 工場見学を断られる
- 認証証書を提示しない
- 前払い100%を要求される
- 異常に安い見積り
- 担当者がころころ変わる
- 秘密保持契約を渋る
まとめ
PCB実装パートナー選定の10のチェックポイントを解説しました:
- 品質認証と規格対応
- 技術力と設備
- 試作対応力
- 品質管理体制
- コミュニケーション
- 価格と透明性
- リードタイムと納期遵守
- スケーラビリティ
- サプライチェーン管理
- アフターサポート
すべてを完璧に満たすパートナーを見つけるのは難しいかもしれませんが、 御社にとって重要な項目を優先順位付けし、総合的に判断してください。 また、ターンキー vs コンサインメントの選択や、 製品に最適な基板タイプの選定も合わせて検討してください。

"パートナー選びは結婚に似ています。最初の印象だけでなく、問題が起きた時にどう対応するかが大切。当社では、まず小さなプロジェクトからお付き合いを始めることをお勧めしています。"
— Hommer Zhao
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